画像処理技術を用いた外観検査は、「対象部品の有無や組付け間違い」、「形状に関する不具合」、「表面特性に関する不具合」、「印刷チェック・数量のカウント」等、目的に応じて様々な検査に使用できます。
ここでは、「印刷チェック・数量のカウント」に使用する画像処理技術や判別事例について説明します。 また、製品に焦点を当てた「製品別画像処理による判別事例」もあわせて参照ください。
使用する画像処理技術
「印刷チェック・数量カウントに関する不具合」を判別する際は、AI、ルールベースのどちらの技術も使用する可能性があります。(AI、ルールベースについては「合否判別に関わる技術」を参照ください。)
但し、一般論として「ルールベースは不良を言葉で定義しやすい検査に向いており、不良の定義ができれば設定は比較的短時間でできる」、「AIは不良の定義が言葉で説明しにくい検査に向いており、設定には時間がかかりがちだが適用できる範囲は広い」という特徴があります。まずはルールベースによる判別が可能か検討をした上で難しい場合はAIによる判別を検討する、というプロセスを踏むことが大切です。
「印刷チェック・数量カウントに関する不具合」の判別を行う場合、ルールベースやAIの技術がどのような場面で適しているか参考にして頂けるよう、適しているケースを以下の表に示します。
ルールベースが適しているケース | AIが適しているケース |
---|---|
・印刷内容やカウントする対象が同一形状である場合 (例:コピー機で出力された文字の読み取りや同一形状物の数量カウント、等)バーコードや二次元コードの読み取り | ・造形により文字を形成しているなど、通常のOCR(光学的文字認識)技術では読み取りが難しい印刷内容の読み取り (例:製品へのレーザー刻印の読み取り、等) カウントする製品の形状に幅がある (例:食料品の数量カウント、等) |
判別事例
製品ラベルの印刷内容チェック
製品によっては製造時に貼り付けるラベルにロット番号、製造年月や製造国に加えて認証マークの印字を要求されるケースがあり、これらの印字を適切に行わないと顧客からのクレームや認証機関から不具合としての指摘に繋がることもあり確実なチェックが必要です。
これらの印字されている内容やマークのチェックは画像処理の得意な領域の一つであり、「0(ゼロ)」や「O(オー)」、「1(いち)」や「I(アイ)」といった類似文字の取り扱いには注意が必要なものの、ルールベースを用いることで人よりも正しく早く判別が可能です。
製品の員数チェック
製品をカウントするのも画像処理技術が強みを発揮する領域の一つです。例えば画像内にある数百個のナットや、円筒上製品の断面によるカウントなど、人が行うと数秒から数十秒かかる検査も画像処理を用いれば1秒以内で検査ができることもあります。
カウントする形状が同一形状の場合はルールベースのアルゴリズムが強みを発揮しますが、食品のような不定形の場合や製品の向きが揃っていない場合、製品の識別とカウントを同時に行う場合はAIを用いたカウントが有効となります。
まとめ
印刷チェックや数量のカウントは「目視外観検査」のイメージから少し外れているかもしれませんが、正確さや早さが求められるこの検査は画像処理技術により効果が得られやすい検査の一つです。
まずは取り組みやすく、効果が得られやすい領域から着手することで画像処理の得意な領域、苦手な領域を見極めて少しずつ適用範囲を広げていくことが重要です。