画像処理判別に必要な要素技術としては大きく「画像取得に関わる技術(目視判別の「目」に変わる技術)」、「判別に関わる技術(目視判別の「脳」に関わる技術)」に加えて、「データ活用に関わる技術」があります。

画像処理による判別を行うことで、様々な情報がデジタルデータとして蓄積されます。本項では、どのようなデータが蓄積されるのか、蓄積したデジタルデータの有効活用を通じてどのような効果が得られるのかについて、それぞれ説明します。

1. 画像処理判別により蓄積されるデータ

OK/NGといった判別結果、判別時の画像情報に加え、判別した内容(不良として抽出した項目、個数、サイズ、位置、等)、検査日時、ロット、検査数量といった様々な情報を得ることが可能です。

2. データの有用性

画像処理で得られたデジタルデータは、生産性向上や競争力強化に直結する重要な要素です。データ分析により、以下に示す効果が見込まれます。

歩留まりの改善:不良と分類された画像の発生数や発生箇所のデータと、生産設備や作業プロセスから取得したデータを紐付けて分析することで不良が発生する要因の特定に繋がる可能性があります。特定した不良発生要因を解決することで、歩留まりの改善が可能となります。

トレーサビリティの確保:画像処理の画像データを保存することで、データによる製品状態の確認が可能となります。これにより、顧客への迅速な対応が可能となる上、万が一再検品が発生した場合においても、検査対象範囲を最小限にできます。

不良発生の予兆管理:時間の経過とともに悪化し不良となる場合、画像処理によりデータを把握することで不良が発生する前段階で予兆を検知し、不良の発生を抑制できます。

3. まとめ

良品/不良品を正しく判別することが画像処理判別のベースですが、一方で、せっかく取得したデータを良否の判別のみに使用していては宝の持ち腐れといえます。取得したデータにより解析を行い、変化点や傾向値を工程にフィードバックすることで、画像処理判別の価値を更に高めることが可能となります。